病気の時に熱が出るのは、ウイルスや細菌に対して体が戦っているためです。理論上は熱は無理に下げない方が良いともいえます。昔、東京でお手伝いに行っていた病院では解熱剤は一切使わない方針の所もありました(現在どうかは分かりませんが)。でも高熱の時は体力も消耗し、食欲も落ち脱水になりやすいものです。自宅ではこんなことをしてあげましょう。
1)解熱剤は坐薬や内服薬などありますが、本人用に処方されたものを使用してください。小児で安全に使えるのは、アセトアミノフェン(アンヒバ坐薬、カロナールなど)、イブプロフェン(ブルフェン、ユニプロン坐薬など)です。成人用に処方されたものは決して使わないでください。体温が38.5℃以上で、そのために食事や水分がよく摂れない、機嫌が悪いなどの時に使ってください。熱があっても元気がよく水分も十分摂れている時は、解熱剤は必要ありません。病気の初期は解熱剤を使ってもなかなか熱は下がり難いことも多くあります。1℃前後下がれば十分です。使用間隔は8時間以上と指導していますが、どうしても熱が続いて待てない場合は6時間と話しています。最も多く使われているアンヒバ坐薬は50,100,200mgがあります。安全域の広い薬ですが、1回使用量は体重1kg当たり10mgが目安です。年令に比べ体重が多すぎる場合は少なめの使用量になります。およそ1歳で100mg、体重20kg以上で200mgで、1回2/3個、3/4個などの処方も多くあります。夜間の急な発熱で手元にアンヒバ坐薬がある場合は以上を参考にして使用してください。使用量に迷った時は少なめに使ってください。坐薬と内服薬では使用量が同じな場合は効果は同じと考えられます。
2)体を冷やす。解熱剤を使わない、使ったが熱が下がらない時は体を冷やしてみましょう。太い血管が体の表面近くを走行している頚部、脇の下、足の付け根などが効果的です。おでこも気持がいいのですが、市販の冷却シートがずれて鼻や口を塞いでしまう事故の報告もありますので目を離さないよう注意してください。もし嫌がるようなら冷やす必要はありません。
3)熱の出始めは寒気を感じ、熱が上がりきると熱がります。寒気があるときは衣服を1枚増やし、手足が冷たい時は暖めてあげてください。反対に熱がるときは1枚減らしてください。お子さんの気持の良いようにしてあげてください。汗をかいたらこまめに肌着を交換してください。熱が高いときは水分がたくさん失われます。脱水予防のためにも水分はこまめに与えてください。そうはいっても高熱の時はなかなか普段のようにはいきませんね。口を湿らし程度でも構いませんので、白湯、お茶、乳幼児用のイオン飲料水など与えてみてください。お風呂やシャワーは高熱のためにぐったりしている以外はあまり問題ないと思います。冬場など脱衣場が寒くないよう気をつけて、短時間で済ませてください。
小児救急電話相談などで、最も相談で多いのが発熱に関することです。夜間の発熱が解熱剤で一時的に熱が下がったとしても根本的な治療ではありません。また朝は一般的に体温は低くなりますので、安心せずに受診してください。